ただの読書ログ

ひたすら読んだ本をアップしているだけの日記です。

文は一行目から書かなくていい ― 検索、コピペ時代の文章術 Kindle版 藤原 智美 (著)


文は一行目から書かなくていい ―
検索、コピペ時代の文章術

さすがの筆力です。楽しく読めますね。文章を少しでも書いてみたいと思える人にぜひ、お勧めの本です。とりわけ、私は、電子書籍との付き合い方に関する藤原氏の懸念が響きました。電子書籍で狂ったように本を読んでいるからだと思うんですが・・。少し引用してみましょう。

電子書籍を読むということは、興味にしたがって思考がどこへでも自由に飛べるということです。一カ所にとどまらずに飛び回ることは、同時にまた考えが散漫になることでもあります。散漫な思考というのは、事象の表面だけをなぞった細切れの思考といいかえてもいい。それらを表現しようとしても、一つ一つは細切れの短文であり、全体としてはパッチワークのような継ぎはぎだらけという文章になりかねません


・・このデジタル化を手放しで喜べないのは、読むという行為が、たとえばスケートリンクを滑っていくように移り気で、めまぐるしく、落ち着きのないものになっていくのではないかという恐れを感じるからです。読書は単なる情報収集とは違った、いうなれば底なしの深い海に潜っていくような思考を伴う行為であってほしい。


そう望むのは、読むという行為が情報で満ちた氷上を、たえまなく動いていくものになれば、必然的に書くという行為もそれに呼応して、せわしないスピード感だけを求められるようなものに変わっていくと思うからです。そうなると、もう私には出番はないような気がします。

私も、毎月50冊以上の電子書籍に目を通しつつ、ぼんやり感じていたこと、藤原氏が、このもやっとした思いに言葉を与えてくれたような気がしています。結局のところ、電子書籍になってしまった文章は、ブログやネットサーフィンで文字を読むのとほとんど変わりません。本を読むという行為の意味が大きく変わっていく時代であるというのは間違いないのです。そして、ある意味で、この「浅さ」は「書く」という行為にも影響を与えています。非常に鋭い指摘です。グサッと来ました。

今、私は、電子書籍で本を読むことに対して、何らかの明確な自分の考えを持っていませんが(語れるほどの)、藤原氏のこのコメントを燃料に色々考えてみようと思っています。

書籍紹介

第1章 あなたは9歳の作文力を忘れている/第2章 プロ作家の文章テクニック/第3章 名文の条件とは何か/第4章 日常生活で文章力を磨く/第5章
検索、コピペ時代の文章術/第6章 書くために「考える」ということ

電子メディア隆盛のいま、何をテーマに、どうのように書くか。
芥川賞作家・藤原智美が、プロとして身につけたテクニック。
そのすべてを伝えます。

いま、何をテーマに、どのように書けば、人の心を動かす文章になるのか。
小説からネットの文章まで、ノンフィクション作家でもある著者がテクニックを紹介。
同時に、本書は電子メディア時代における「書く」ことの意味を考察した
ノンフィクションでもある。
伝わる文章を書くことだけでなく、書くという行為そのものについて、
思いを巡らすための一冊。

──文章の本質は「ウソ」です。
ウソという表現にびっくりした人は、それを演出という言葉に置きかえてみてください。
いずれにしてもすべての文章は、それが文章の形になった瞬間に何らかの創作が含まれます。
良い悪いではありません。好むと好まざるとにかかわらず、文章を書くという行為は、
そうした性質をもっています。(本文より)