ただの読書ログ(ヨシ・ノリハラ)

ヨシノリハラがひたすら読んだ本をアップしているだけの日記です。

東大教授が教える独学勉強法 柳川 範之

まったく異例の実績をもつ(あるいはもたない)東大教授の独学本です。ブラジルでの海外生活が長かったため、高校では正規の教育をほとんど受けなかった著者は、自然に、自分で勉強するすべを身につけるようになりました。試験の正答にすぐ答えられるかどうかが重要なのではなく、自分の頭で考えることの価値を思い起こさせられる一冊です。


東大教授が教える独学勉強法

第1章 新しい「勉強」が必要とされる時代(なぜ人は勉強するのか?/勉強の本質は「考えること」 ほか)/第2章 なぜ独学が、一番身につく勉強法なのか(独学のメリット/独学に向く人、向かない人 ほか)/第3章 勉強をはじめる前にやっておきたいこと(いきなり勉強してはいけない/まず、自分に合う勉強のコツを探そう ほか)/第4章 新しい分野に、どう取りかかり、学びを深めていくか(情報収集・資料収集について/本の読み方 ほか)/第5章 学びを自分の中で熟成・加工し、成果をアウトプットする(専門書を読んでみよう/学びを熟成させるプロセス ほか)

印象的なノウハウ

ノウハウという言葉では評価できませんが、すぐにでもとりれたい箇所のみご紹介します。

テキストの2回読み

私も自然にやっていることが多かった気がしますが、著者は2回読みを勉強の技術としています。一度目はさらっと通読し、二度目には疑問や批判的な目を向けながら深く読み込んでいきます。著者の考えの全体像がわからずに最初から深く読むというのは難しいですよね。確かにこれは効果的です。とりわけマーカーのひきかたに関して当てはめたい考え方が下記に載せられています。

「1回目に読んだ際にいきなり線を引かないということです。というのも、最初に読んだ段階で線を引いていくと、線やマーカーだらけになってしまうからです。初めて読んだときは、どの部分も大事に見えますし、新鮮な驚きもあるために、ついつい線を引きたくなってしまいます。とくに、良い本であればあるほど新しい発見が満載です。でも、それは初めて読んだからに過ぎなくて、本当に大事なポイントを、この段階で抜き出すのはなかなか困難です。そこでいいと思った部分に片っ端から線を引いていくと、きりがありません。あとで読み返してみても、どこが本当に大事なポイントなのかわからなくなってしまいます。


ですから、線を引くならば、2回目か3回目に読むときに引くのがよいでしょう。何回読んでも同じ部分で引っかかったり、興味を引かれたりする部分に引けばいいのです。でも、2回、3回読むことで実はポイントが見えてきたら、マーカーを引くこと自体、本当は必要ないのです。もう、ポイントは理解できているのですから。」

Kindleで読むようになってから、簡単にマーカーを引くようになりましたが、確かにマーカーを引きすぎてしまい、どこかが重要かわからなくなってしまうことが多くなりました。そこで、著者のノウハウを当てはめて、最初の30分で一冊をさらっと読み進め、残る15分でマーカーを引く箇所を見定めた拾い読みをするようにしました。合計45分で一冊を読み終わる計算です。

何度も同じ本に目を通すことは非常に有益で、著者が言うようにマーカーをひかなくても、大事だと感じるポイントが自分から飛び出てくるように感じることがあります。

論文式アウトプット

「一般的に論文の評価は、どれだけ独創性があるか、オリジナリティがあるかで決まります。今までの人たちが言ってきたことと違うことがどれだけ言えるか、新しいことがどれだけ言えるかで、良い論文かどうかが決まります。ですから、受験勉強が得意というのとはちょっと違う能力を要求されます。理解力がいくら高くても、新しいことやおもしろいアイディアが出てこないと、研究者としては評価されません。

私の場合、自分一人で勉強してきただけに、本やテキストを読んだときに疑ってかかるクセはある程度身についていて、今から考えると、それは研究者になってとても役に立っています。何でもなるほどと思って納得してしまうと、論文は書けないからです。人が言ったことや書いたことを全部疑ってかかる。本当にそうなのかと押し戻してみる。そこからアイディアが生まれると思うのです。」

著者の論文を意識したアウトプット法が参考になります。論文の場合は、単に内容を理解するだけではなく、それをベースにして、いかにオリジナリティのあるものを作れるかが大事なわけです。自分なりの視点、自分なりのオリジナリティをどこに付加するのかということが見えて初めて、その論文を読んだ意味があります。読んだあげく「すごくおもしろかった」では意味がないわけですね。

いくつもの参考資料を集めて、ひとつのオリジナリティのある文章を作るわけです。あくまでも参考資料は、自分の考えを作り上げるための「肥やし」に過ぎないわけです。この辺がわかると、読み方も変わりますね。多少うがっているかもしれませんが、ただ、著者の意見を素直に飲み込むだけではなく、それを活用して、もう一歩高みに上がることができます。

わたしも時折、コンテンツを作る目的で読書をすることがありますが、そのような際に、是非意識したい読み方です。(いつでも批判的読み方をするのがふさわしいわけではないと思います。先日ご紹介した「難解な本を読む技術 (光文社新書) 高田 明典 - ただの読書ログ」によると難解な本、古典、名著を読む場合には「同化読み」がまずは勧められています。私もそう思います。)

とりあえず勉強してみる

「この「とりあえずやってみる」というのが、独学をはじめるうえでの大きなポイントです。あまり慎重になりすぎると、なかなか独学に踏み出すことができません。少しずついろいろなことをやってみて、良いと感じたら先に進めばいいのですし、だめだなと思えば戻ってみる。現実的には、やってみないとわからないのですから、最初から一つのことにピシッと決めて取り組むのではなく、ある程度余裕を持って、試行錯誤の余地を残しておいたほうが長期的に見て、良い結果が得られます。

ちょっと自分のやりたいこと、関心のあることがあったら、本を買ってきて勉強してみるとか、最初はそんな簡単なステップからはじめてみま
しょう。小さなことが学んでいくきっかけになれば、人生の選択肢も広がりますし、いろいろなことができるチャンスも広がってくると思うのです。」  

著者の場合もそうなのだと思いますが、人生がどのように転がっていくかというのは予想がつかないものです。医師だったのに作家に転身した人もいれば、違う職業だったのに突然、医師や弁護士という専門職を志す人もいます。人生というのは予想もつかないすごろくのようなものです。勉強をきっかけに人の人生は進み出します。

だとすると、関心を持った勉強は何でもやってみたらいいいよ!と著者いうわけです。人生の大きな方向転換をする前に、たとえば、文学部にいてもちょっと医学に興味を持ったら、数冊医学のテキストを読んでみればよいというわけです。もしかすると、実際に行動に移すと、野望も冷めるかもしれません。その逆に本当に好きなこと、燃えることに出会えたことに気がつけるかもしれないわけです。その分野の本を読んでみると、少し勉強してみると、それはすぐにわかります。その時点で、方向を考えればよいのです。

著者曰く「勉強とは人生の方向転換をするための手段」なのです。こう思うと無限にも思えるテキストがあり、何でも勉強できる、この時代に生まれたことを感謝しないわけにいきません。

まとめ

ただ、書いてあることを受け入れるような勉強では、自分の思考が育ちません。著者は、いわゆる試験勉強というレールから抜けて、独学をしてきたからこそ、自分の頭で考える価値を理解でき、そのことを語れるわけです。地頭の良さを感じます。ふとしたきっかけで手に取った本ですが、非常に満足でした。

早速、学んだことを私のお勉強に反映させていきたいと思います。


東大教授が教える独学勉強法

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