ただの読書ログ

ひたすら読んだ本をアップしているだけの日記です。

わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~ (光文社新書)西林 克彦

流し読みする本ではなく、注意深く読む本を読書しているので、手に取りました。最初の数章は、実践式になっており、まさに「考えながら」読むことができ、知的な興奮を覚えるものでした。章が進むにつれ、ちょっと疲れてきたのですが、著者の授業をまさに受けているような感覚のある良書でした。私はかなり楽しめました。

印象に残ったコメント

実践式のトレーニングが多く、ひとつひとつ読み進めるうちに「わかったつもり」を脱却させる意図があることが分かります。体験型の読書ともいえるため、特にこの個所というコメントは無いのですが、いくつか拾ってみます。

自分は「わかっている」と思っているけれど、「わかったつもり」の状態にあるのだ、と明確に認識しておくことが必要です。すなわち、今は見えていないけれど必ずもっと奥があるはずだ、と認識しておく必要があるのです。そうでないと、既に何度も述べているように、「わかったつもり」は、ひとつの「わかった」安定状態ですから、そこに安住してしまうのです。

基本的な考えはこのコメントに要約されています。怖いのは「わからない」という感覚より、「わかった」という錯覚です。いちど分かったと思ってしまうと、それ以上、人は考えなくなってしまうからです。これは、よくわかります。私も、大げさに言うと、専門の研究分野を持っていますが、ある面で読む前から「わかった」と感じることもあり、そうなると一切深めることができなくなります。真新しい分野に取り組むより、「わかっている」ようにみえる分野に取り組むほうが困難だと感じます。

その「わかった」を脱却するうえでのひとつの「技術」は、矛盾や疑問です。

「「矛盾」や「疑問」は、次の「よりよくわかる」ための契機となるものです。「矛盾」や「疑問」はネガティブに捉えられることも少なくないのですが、むしろ次の解決すべき問題を発見できたという意味で、「認識の進展」という観点からはポジティブな存在なのです。以前よりわかった」からこそ、次なる問題点が私たちの前に出現してくることになったのです。これも「認識の進展」という観点からはとても重要なことです。」

講義を聞いた後に、質問が出ないのは、すべてが明快でよくわかったからというよりは、「わかったつもり」になっているからです。深く理解していないので、突っ込んだ質問が出ないわけです。だとすると、小さなところにも、引っかかり、疑問を持つようにするというのは、読みを深める一つのポイントになりそうですね。



わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~ (光文社新書)

文章を一読して「わかった」と思っていても、よく検討してみると、「わかったつもり」に過ぎないことが多い。「わからない」より重大なこの問題をどう克服するか、そのカギを説いていく。