ただの読書ログ

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脳地図を書き換える―大人も子どもも、脳は劇的に変わる 単行本 生田 哲 (著)

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脳地図を書き換える―大人も子どもも、脳は劇的に変わる

軽いビジネス書なのかと思って読み始めましたが、ところがどっこい、骨太の一冊でした。いわゆる「脳科学」の歴史が分かりました。そして、脳の可塑性についての理解が深まりました。

最終的に「瞑想」という落としどころ(行動)まで提案しているところに、生田氏の筆力を感じます。

内容

大人の脳は変わらないと信じられてきたが、しかし、それは俗説であった。幼児、子どもの脳だけでなく、大人の脳もどんどん変化を続けることを紹介。脳地図(脳のそれぞれの部位が体のどことつながっているかを明らかにしたもの)はピアノ、バイオリン、スポーツなどの運動、リハビリなどによっても変わるが、心に何かを思い浮かべるだけでも変わる。本書は脳科学における革命的な書物である。
まず、本書は「脳は変わらない」というのは完全に俗説であることを指摘。さらに、シナプス(情報伝達の道)という脳全体から見て小さいものではなく、大脳や小脳といった脳の部位そのもの役割が変わってしまうことを明らかにする。そして、どのようなことをすれば、脳が大きく変わっていくかを解説。脳を変えるための瞑想やイメージトレーニングの仕方なども解説する。

目次

第1章 「大人の脳は変わらない」は迷信(ADHDの少年が水泳のスーパースターに/65歳で脳卒中から回復した ほか)/第2章 人間の脳がもつ驚異的な柔軟性(赤ちゃんの脳は万能だ/神経細胞もシナプスも生き残りをかける ほか)/第3章 習慣・訓練によって脳地図が書き換わる(脳は25歳でも発展途上にある/脳に2度のビッグチャンスあり! ほか)/第4章 メントレで脳が変わる(運動能力を格段にアップさせるメントレ/なぜ、メントレは効果的なのか? ほか)/第5章 不幸脳が幸福脳に変わる(メントレで幸せになる/心にも訓練が必要 ほか)

印象的なコメント

脳を開く「関心」の力

見る見ない、聞く聞かない、感じる感じないというのは、実は、あなたが関心を向けるか、向けないかという「主観」あるいは「意志」で決まる。

脳に入力される情報をすべて処理し記録すればいいと思うかもしれないが、脳が一定の時間に処理できる情報量には限界がある。このため、脳は情報を取捨選択しなければならない。その手段が関心なのである。だから、同時に脳内の同じ領域に入力された情報は、競争し、互いに抑制し合う。勝ったほうが脳に記録され、負けたほうは脳を素通りする。どちらが勝つのかを決めるのは、あなたの関心がどちらにあるかである。


何に関心を向けるかを決めるのは、わたしたち自身である。この関心の方向によって、わたしたちがつぎの瞬間にどんな脳をもつかが決まってくる。わたしたちは、いまの自分の選択によって明日の脳を形づくっているのである。脳をよい方向に効果的に変えるには、関心をもちつづけ、習慣化するのがよい。習慣とは長期間続けて「関心」をもち、「シグナル」を受け入れるように振る舞うことである。

著者が指摘するように「関心」という「門」を通って、知識が脳に入ってくるのです。本の中には文字が印刷されたインク部分も余白の空白部分も同時に存在するわけですが、文字部分だけを読み取っていくというのは、文字に関心を持っているからにほかならないというわけです。興味深いですね。毎日、雑多なものに触れ、見ていますが、それを脳に読み込ませるかは、関心の度合いによって違うのです。

猿を活用した実験が興味深かったですが、聴覚に注意を集中させた猿と、触覚に注意を集中させた猿では、脳のそれぞれの分野の拡大の仕方が違ったそうです。関心を持って、注意を払えば払うほど、その分野が強化され、より一層注意を払えるようになっていくのです。脳が大人になっても変化し続けることができるというのは、福音ではないでしょうか。

まとめ

とても興味深く読んだ一冊ですが、なかなか専門的な表現や実験結果が載せられており、読むのに少し苦労しました。エッセンスだけを切り取ったビジネス書ではなく、たまにはこういう本を読むのも良いなぁと改めて実感しました。糖質制限をしている最中に、生田氏の本はチラッと目にしていましたが、こんな骨太の本を書ける方だったとは知りませんでした。今後、要注目です。


脳地図を書き換える―大人も子どもも、脳は劇的に変わる